離婚届の書き方を弁護士がわかりやすく解説!

協議離婚する際には、当事者が離婚届を用意して必要事項を記入しなければなりません。
とはいえ離婚届をどのように書けば良いのかわからず、迷ってしまう方もおられるでしょう。

正確に作成できないと、離婚が受理されない可能性もあります。

この記事では離婚届の書き方を弁護士がわかりやすく解説します。離婚協議中の方などは是非参考にしてみてください。

1.離婚届とは

離婚届とは、夫婦が離婚する際に必要事項を記入し、役所へ提出する書類です。
協議離婚の場合、離婚届が受け付けられると離婚が成立します。離婚届を提出しない限り、離婚が成立しません。

調停離婚や裁判離婚、審判離婚の場合には、離婚はすでに成立しているので確認的に離婚届を提出することになります。ただし調停離婚や裁判離婚などの場合でも、離婚届の提出は必須です。調停成立後や判決確定後10日以内に提出しないと「過料」の制裁を受ける可能性もあるので、早めに離婚届を作成して提出しましょう。

2.離婚届の入手方法

離婚届は市区町村役場で入手できます。役所の戸籍係へ行き「離婚届をください」といえば離婚届の用紙をもらえます。
役所へ行く時間のない方や役所で離婚届をもらうのに抵抗を感じる方は、各自治体のHPからダウンロードもできます。

また弁護士に離婚協議を依頼している場合などには、弁護士にいえば書式を交付してもらえるケースが多数です。

3.離婚届の書き方

次に離婚届の書き方を説明します。
(例)妻側が記載するべき箇所(夫側が記載する場合は、赤枠の左側)

なお、証人欄は、二名必要です。
通常は、夫側から一人、妻側から一人、それぞれご用意されることが多いです。

以下で離婚届の具体的な書き方をご紹介していきます。
3-1.届出の日付
まずは離婚届を提出する日付を記入する欄があります。
ただし提出日に記載した日に離婚が成立するわけではありません。協議離婚は離婚届が受け付けられた日に成立します。

3-2.氏名、生年月日

氏名欄には婚姻中の姓を記入しましょう。漢字は戸籍に記載されている文字の通りに記載してください。

3-3.住所

住所欄には住民登録をしている住所と、世帯主の氏名を記入しましょう。

3-4.本籍地と筆頭者

夫婦の本籍地と筆頭者の氏名を記入します。筆頭者とは、戸籍の最初の欄にかかれている人です。

3-5.父母の氏名と続き柄

夫婦の両親の氏名と続き柄を記入しましょう。
続き柄の欄には「長男」「長女」などと記載します。

3-6.離婚の種別

離婚の種類にチェックを入れましょう。調停離婚の場合には調停成立日、審判離婚や裁判離婚の場合は確定日も記入しなければなりません。

3-7.婚姻前の氏にもどる者の本籍

婚姻して相手の籍に入った場合、離婚すると基本的に婚姻前の氏に戻ります。
届出の際にもとの戸籍に戻るのか、新しい戸籍を作るのか選択できるので、離婚届を提出する前にどちらが良いか、検討しておきましょう。

後にご説明する通り、婚氏続称届を提出すれば離婚後も婚姻中の姓を名乗れます。ただし婚姻時の姓を継続して名乗る場合、元の戸籍に戻れません。自分だけの新しい戸籍を作ることになります。

3-8.未成年の子の氏名や親権者

夫婦に未成年者の子どもがいる場合、親権者を決めなければなりません。
離婚届を作成する前に、親権について話し合い、どちらが親権者になるか決めておきましょう。
親権者が決まっていない場合には離婚届は受理されません。

3-9.同居の期間

夫婦の同居期間について記載します。
「同居を始めたとき」の欄には同居を始めた日か結婚式をした日のどちらか早い方の日付を入れましょう。
離婚前に別居した場合「別居したとき」の欄に別居した日付を書きましょう。
別居していない場合、「別居したとき」は空欄でかまいません。

3-10.別居する前の住所

別居している場合、別居前の住所(同居していたときの住所)を離婚届へ記載します。
別居していない場合には空欄のままでかまいません。

3-11.別居する前の世帯のおもな仕事

夫婦の主な職業を選びます。あてはまる仕事にチェックを入れましょう。

3-12..夫妻の職業

夫婦の職業を記載します。ただしこちらを記載するのは、5年ごとの国勢調査が行われる場合だけでかまいません。

3-13.その他

上記以外に留意事項がある場合に記載します。たとえば父母が養父母の場合などです。

3-14.届出人

届出人の欄には、基本的に夫婦がそれぞれ署名押印します。利用する印鑑は実印でなく、認印でも問題ありません。なお夫婦の署名押印欄については代筆ではなく、本人が署名押印するようおすすめします。そうでないと、後に相手から「勝手に届出をされた」などといわれてトラブルになる可能性があるからです。

また調停離婚や裁判離婚の場合、相手方の署名押印は不要です。届出人だけが署名押印すれば離婚届を受け付けてもらえます。

3-15.証人の署名や押印

協議離婚の場合には、2名の証人を用意しなければなりません。
証人は親族でもかまいませんし、友人知人、また弁護士などの専門家でもかまいません。
証人欄には証人の本籍地や住所を書いて、証人自身に署名押印してもらう必要があります。

4.離婚届の必要書類

4-1.協議離婚の場合

協議離婚の場合、以下の書類が必要です。
□ 離婚届
□ 身分証明書
□ 本籍地以外の役所の場合、戸籍謄本

4-2.調停離婚の場合

調停離婚の場合には以下の書類が必要です。
□ 調停調書
□ 離婚届
□ 身分証明書
□ 本籍地以外の役所の場合、戸籍謄本
調停調書に記載のある離婚成立日から10日以内に離婚届を提出しなればなりません。

4-3.判決離婚の場合

□ 判決謄本
□ 判決確定証明書
□ 離婚届
□ 身分証明書
□ 本籍地以外の役所の場合、戸籍謄本
判決で離婚が確定してから10日以内に離婚届を提出しなければなりません。

4-4.和解離婚の場合

□ 和解調書
□ 離婚届
□ 身分証明書
□ 本籍地以外の役所の場合、戸籍謄本
和解日に記載されている和解日から10日以内に離婚届を提出しなければなりません。

5.郵送でも離婚届を提出できる

離婚届は郵送でも提出できます。
ただし郵送すると、不備があった場合にその場で訂正ができません。
正しく書けている自信のない場合には、窓口へ持参して提出した方が良いでしょう。

6.婚氏続称について

結婚して相手の戸籍に入り、名字が変わった方の配偶者は、離婚すると基本的に元の名字に戻ります。ただし「婚氏続称届」を提出すると、婚姻時の名字を継続して名乗れます。
離婚時までに婚氏続称すると決めているなら、離婚届と同時に役所で婚氏続称届を提出すると良いでしょう。また離婚後3か月以内なら、役所で婚氏続称届を受け付けてもらえます。
3ヶ月以上が経過した場合、婚氏続称するには家庭裁判所で「氏の変更許可申立」という手続きをしなければなりません。

7.離婚届不受理申出について

こちらが望んでいなくても、相手が勝手に離婚届を提出してしまうケースがあります。
相手が離婚を希望していて、こちらが離婚を拒否している場合などです。
また子どもの親権でもめている場合にも、相手が勝手に親権者の欄に書き込んで離婚届を提出する事例が少なくありません。いったん離婚届が受け付けられると、無効を確認する手続きはかなり大変な作業になってしまいます。
相手による無断の離婚届提出を防ぐには、役所へ離婚届不受理申出をしておきましょう。申出書を提出していたら、申出人の意思確認ができない限り、離婚届が受理されません。

8.離婚問題は弁護士へご相談ください

離婚問題に適切に対応するには法的な知識が必要です。弁護士がついていれば有利な条件で離婚交渉しやすくなるでしょう。
グリーンリーフ法律事務所では離婚問題を抱えた方への支援に積極的に取り組んでいます。離婚関係でお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

ご相談 ご質問
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、17名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 時田 剛志
弁護士のプロフィールはこちら