
紛争の内容
元妻から財産分与を請求されているという男性から相談を受けました。
元妻は、自分には僅かな預金しかないと主張し、男性に対して様々な種類の財産の資料を開示するように要求しており、男性は、自分が生活費のほとんどを負担しており、元妻は働いていたため、元妻にわずかな財産しかないというのは信じられないと考え、当事務所に依頼をしました。
交渉・調停・訴訟等の経過
元妻が財産分与の調停を申し立てましたので、元妻に対しては、開示済みの預金以外の財産の資料、及び、クレジットカード会社の取引履歴を開示するように要求しました。
すると、他の財産の資料やカードの取引履歴を開示するようになりました。また、預金について、過去10年分の取引履歴を提出するように要求したところ、提出がなされました。
預金とクレジットカードの取引履歴を確認しますと、元妻が親族に対して、借金をしながら、300万円を超える送金をしていることが確認されました。借金をするだけでなく、夫婦の預金を外部に流出させていたことは問題ですので、元妻への財産分与の割合を通常よりも小さくするように主張しました。
本事例の結末
裁判所は、当方の主張を考慮し、元妻への財産分与の割合を35%と判断しました。これにより、通常の場合に比べて300万円ほど元妻へ支払う金額が減額されました。
本事例に学ぶこと
財産分与の割合は50%とすることが原則であるところ、借金をしながら多額の資金を外部に流出させたり、著しい浪費をすることによって、夫婦の財産を形成することに貢献していないという特別の事情があれば、財産分与の割合を小さくしてもらえる場合があります。
裁判で認められるというのはなかなか珍しいケースではありますが、本件では、このような主張を認めてもらうことができました。
弁護士 村本 拓哉