短期間で訴訟離婚(和解離婚)をし、婚姻費用の支払いから免れることができた事例

紛争の内容
依頼者の方は、離婚調停の段階では弁護士を就けず、離婚事件で考えられる論点全てで強い主張をし、時間がかかりながらも離婚には至りませんでした。

他方、依頼者の方は収入が大きく、多大な婚姻費用を支払い続けており、この負担が非常に重くなっていました。

そのような中、相談にいらっしゃいました。

交渉・調停・訴訟等の経過
まず、依頼者の方が、離婚するにあたり、何を希望するのか・何をどうしても譲れないのか、聞き取っていきました。

その中で、どう考えてもその要望を叶えることは難しい論点についてはあえて切り捨てることをアドバイスしました。

そして話合って考えてみた結果、主張の内容は早急に離婚したいこと(婚姻費用の負担から免れたいこと)・財産分与にあたっての特有財産部分の主張をしたいことのみという非常にシンプルなものとなりました。

そこで、相手の主張を先読みし、こちらから情報は積極的に開示した上で、こちらに不利であっても争って勝ち目がない点について主張を全て整理してしまい、訴訟終盤のごとく客観的資料に基づく妥当な判断内容をまとめて主張しました。

本来であれば、相手方が積極的に主張しなければならない事項をこちらで整理して提示してしまったため、先方は面食らう形となりました。

主張にあたっては、こちらの要望は主張しながらも、譲れるところ・勝ち目のないところは反論された次の瞬間には撤回するというスピード感を重視しました。

本事例の結末
第3回期日においては、私から和解条項案をびっしりと作成し、もはや訴訟終了という状況にまで持って行ってしまいました。

その結果、先方もむやみに争っても仕方がない、折れるところは瞬時に折れる当方のやり方にはのれんに腕押しでどうにもならないと考えさせるに至り、第4回期日を和解期日とすることができました。

その結果、第1回訴訟期日からわずか4ヶ月後には訴訟終了となり、婚姻費用の負担を早期になくすことができました。

本事例に学ぶこと
あらゆる事件に当てはまりますが、通らない主張を続けることでの不利益を考え、費用対効果の観点から本件のように思い切った戦術を採ることで、蓋を開けてみれば事実上依頼者の不利益を最少に食い止めることができます。

何を重視し、何を絶対に折れたくないか、折れずに勝つことができるのか、事件が長引くことの不利益はどうか、相談しながら感情論を捨てたことが本件の大成功の要因となりました。

弁護士 平栗 丈嗣