紛争の内容
依頼者X(男性)は、妻であるYから離婚の請求を受けました。
またYは子どもを連れて、一方的に家から出て行ってしまいました。
その後、Yは離婚調停の申立てを行いました。
Xとしては、Yとの離婚はやむを得ないと考えたものの、子どもの親権者をYとすることには納得ができず、親権を主張しました。
また子どもと会うべく、あわせて面会交流の調停をこちらから申し立てました。
そうしたところ、Yが面会交流を拒否したため調停も成立とならず、審判に移行しました。
審判では、子どもと2か月に1回、面会交流を認める旨の判断がされました。
一方、離婚調停は親権の主張が対立したため、離婚の合意に至らず、調停不成立となりました。
交渉・調停・訴訟等の経過
離婚については、離婚訴訟となりました。
離婚訴訟の中では、親権者はXとYどちらが適切かについて、調査官調査が行われました。
調査の結果は、残念ながらYを親権者とすべきというものでした。
本事例の結末
離婚訴訟の判決も、やはり親権者をYとするものであったため、Xにおいて控訴しました。
そうしたところ、控訴審(高等裁判所)において、再度調査官調査が行われることになりました。
こちらも調査の結果、残念ながら結論としてはYを親権者とすべきというものでしたが、子どもとXとの関係性は極めて良好であることから、今後さらに面会交流を増やすことで、Xと子どもの接する時間を拡充すべきという意見が付されました。
その結果、親権者はYとなったものの、面会交流については、これまでの2か月に1回という回数から、1か月に1回の頻度に増やし、面会時間も延ばす内容で和解することができました。
本事例に学ぶこと
親権が争いとなる場合、協議や調停だけでは解決に至らず、訴訟に移行するケースは一定程度あります。その場合ポイントになるのは調査官調査です。調査官調査が行われると、最後に家庭裁判所の調査官の意見書が出されますが、基本的には裁判官もその意見に従った判断を行います。
また、調査官調査の結果を踏まえて親権者が決まることになりますが、今回のように、面会交流の拡充ということにより、一定の解決を図ることもあります。
いずれにしましても、親権の争いが生じた場合には、専門的な視点からの主張やサポートが必要不可欠かと思います。親権でお悩みの場合は、是非一度弁護士に相談いただければと思います。
弁護士 小野塚 直毅