乳幼児との直接的面会交流が認められた事例

紛争の内容
依頼者は、ある日突然、子どもを連れて別居を開始した妻から離婚調停を申し立てられました。依頼者としては、離婚を望んでおらず、子どもとの交流の機会を強く望んでいました。

交渉・調停・訴訟などの経過
はじめは、どうにか離婚する意思を翻意してもらおうと試みましたが、妻の意思は強硬で、直ちにではないものの、将来的に離婚を回避することは事実上不可能な状況でした。もっとも、妻があまりにも不合理・理不尽な要求をしてきたため、依頼者も離婚を決意することになりました。
最大の問題は、子どもとの面会交流の確保でした。離婚調停が早々に不成立になりそうだったため、調停での話合いの機会を死守すべく、こちらから面会交流調停を申し立てました。
調停の間、期日間において、妻の無理な要求を我慢して受け入れながらも、何とかして任意の面会交流をしてもらいました。その結果、乳幼児にもかかわらず、直接的な面会交流を問題なく行うことができるという状況・実績を積み上げていくことができました。
しかし、面会交流調停において、妻側は、強硬に父である夫に子どもを会わせたくないとの態度を示してきました。

本事例の結末
面会交流調停での話合いが頓挫しかかったため、審判手続に賭けることを考えていました。ところが、調停官(裁判官)は、これまで問題なく父子の面会交流を行うことができていたのであるから、審判でも従前通りの面会交流をさせる旨の審判の決定をするとの心証を示しました。その結果、調停において、従前通りの面会交流の継続することを約する調停調書が作られるに至りました。

本事例に学ぶこと
面会交流に争いがある場合、現に子を監護している親が、他方の親に会わせることを拒むケースが多々見受けられます。そして、「子どもが父・母に会いたくないと言っている」との監護親からの主張が出ることで交渉が難航してしまいます。
本件では、先々の、相手方の出方・審判になったときに裁判所はどのような判断をするであろうか、といった長期的見通しを立てておくことで、早期に期日間に戦略的に動いたことが功を奏しました。
面会交流は、本来子どもの権利であり、父子関係・母子関係を継続的に確保することで、子どもの自尊心を育むための重要なものです。何とかうまく実現させ、将来の面会交流を担保することができ、本当に良かったと思います。

弁護士 平栗丈嗣