
紛争の内容
依頼者は家を追い出されたところ、妻側代理人から離婚についての協議をしたい旨の書面が届き、交渉を依頼されるに至りました。
交渉・調停・訴訟等の経過
妻側代理人から多額の婚姻費用を請求され、婚姻費用分担請求調停を申し立てると強く迫られました。
こちらとしては早期解決を図るため、下手に調停手続の中で泥沼の長期戦になることを避けるべくひとまずは一応の合理性はある妻側の主張する婚姻費用を支払うことにしました。
しかし、妻側代理人から離婚についての交渉を持ちかけられたにもかかわらず、妻側代理人は事実上離婚に向けての交渉が進みませんでした。
要望に対応するべく回答しても、それをなかったかのごとく対応し、次から次へと要求するばかりに何も進展しません。交渉開始数ヶ月が経って、全てを白紙にするようなことを言い出したため、これは不当に延々と婚姻費用を請求する目的なのだと判断し、こちらから離婚調停を申し立てました。そして、全てお膳立てしました。
しかし調停になって、離婚に応じて良いのか分からないなどと妻側が言い出し、結局は婚姻費用を延々と得る目的だったことが露呈するに至りました。
本事例の結末
調停委員のフォローもあり、調停2回目でのスピード解決をすることができました。
本事例に学ぶこと
離婚請求をされた側の夫の立場であっても、妻側のペースに言いなりになる必要はありません。準備は非常に大変ですが、夫側がイニシアティブを取って、早期解決に向けて動くことも考えるべき場面もあります。本件は、まさにそのような判断と行動が奏功した事例となりました。
弁護士 平栗 丈嗣