親権及び面会交流の条件について争われ、最終的に、複数の頻度での面会交流が認められた事件

紛争の内容
依頼者様は、妻側の弁護士を通じて離婚の交渉を進めていたところ、夫婦の子の親権について争いがあり、交渉が難航したため、妻側から離婚調停を申立てられたということで、ご相談をいただきました。

ご依頼者様は、夫婦が同居をしていた頃から、子の監護・養育に積極的に関与していたことから、親権者としての適格は十分であると考えられました。

もっとも、親権に争いがある場合には、調停において調査官が間に入り、親権についての調査をするため、親権や面会交流の条件面について、争いになることが見込まれました。

当職らよりその点をご説明し、ご理解いただいたうえでご依頼をいただく運びとなりました。

交渉・調停・訴訟等の経過
調停から当職らが代理人に就いたところ、調停ではまず、親権をどちらに定めるかについて協議しました。

そこで、当職らより、親権者を定めるために調査官を入れることが望ましいことを説明したところ、本件では、調査官調査を行うことが適切な事案であるという判断がなされ、調査官調査が行われることとなりました。

そこで、依頼者と検討を重ねたうえで、ご依頼者様のこれまでの監護実績や今後の監護計画などを、調停員や調査官に説明をいたしました。

また、ご依頼者様とお子様の普段の交流の様子を裁判所に分かってもらうため、交流の様子を撮った動画をご依頼者様から提供いただき、動画の内容を説明する書面を提出するなどしました。

調査官がご依頼者様の自宅に訪問し、その場で親子の交流を観察する場面では、当職らがその場に立ち合い、調査官にも、親子の絆が深いことを説明いたしました。

以上のような経緯で、調査官の調査結果が出るまでに、ご依頼者様が親権者と定めるべきであることを、当職らにおいて、可能な限り主張いたしました。

本事例の結末
調査官の調査報告書では、ご依頼者様とお子様の絆が深いこと、及び、ご依頼者様が子の監護・養育に積極的に関与していたこと等が評価された一方で、別居後に主に監護していたのが妻の方であったことや、妻の監護実績も十分であったこと等から、親権者としては母と定めるべきとの意見が出されました。

そこで、こちら側としては、親権者を母に定めるとしても、子との面会交流の機会はしっかりと確保すべきであることを主張いたしました。

また、調停中から妻側に対して面会交流を求め、月2回の宿泊付きの面会交流と、年末年始・ゴールデンウィーク・お盆の長期休暇中の面会交流を実施しました。その中で妻側の弁護士と協議し、面会交流の条件を折衝していきました。

最終的には、調停離婚が成立し、子の親権者は母と定められたものの、月2回の1泊2日の面会交流、及び、年に3回の3泊4日の宿泊を伴う長期の面会交流を認めてもらうことができました。

本事例に学ぶこと
男性側の離婚の場合、親権等の面で不利となることも多いですが、親権者を父と定めるべきであると主張していくことは可能です。また、仮に親権者が母と定められたとしても、面会交流の機会はしっかりと確保できるように、可能な限り主張・交渉することは大切です。

弁護士であれば、親権や面会交流の争いについて、専門的な知見から主張していくことが可能ですので、お困りの際には、まず弁護士にご相談を頂けますと幸いです。

弁護士 村本 拓哉
弁護士 渡邉 千晃