裁判上の和解により激しく争う妻との離婚が成立したケース

紛争の内容
会社員の男性(40代)は、妻の理不尽な言動や行動に嫌気がさし、何度も冷静に話合いを持ち掛けましたが、妻の行動は収まらず、一旦距離を置くということで、妻が子を連れて実家に帰ることとなり、別居を開始しました。

その後、男性なりに妻に寄り添うためにカウンセリングや学習会などにも参加し、夫婦関係の改善を試みました。

しかし、半年以上が経過しても関係改善はなく、妻の方からは「離婚」という言葉が発せられました。

そのため、男性としてもショックを受けるとともに、改善の見込みがないものと考え、弁護士に依頼をするに至りました。

交渉・調停・訴訟等の経過
離婚問題は、交渉で話合いがスムーズに進めばよいですが、離婚そのものに争いがあるケースや別居時期に争いがあるケース、財産分与、親権などで激しい対立があるケースでは、そう簡単に要望が通るとは限らず、結果的に、離婚訴訟も視野に入れ、離婚調停を先行的に進めた方が早いということがあります。

本件でも、妻側の要望が激しく多岐にわたっていたこともあり、離婚調停において、調停委員に話を整理してもらいながら、争点ごとに合意を進めることになりました。

もっとも、想定していたとおり、妻側は、本来、裁判官の判決であれば取り得ない見解などを主張し、調停では感情面の起伏もあり話合いが難航しました。

ある程度の方向性が決まったと思えば、前提を覆し、慰謝料を唐突に求めてくるなど、話し合いが難しい状況であったため、調停員会としてもこれ以上の調停は難しいとの判断に至り、調停は不成立との結果となりました。

そこで、直ちに離婚訴訟を提起し、訴状により夫側の主張を展開したうえで、争点を明確にして争い始めました。

当然、相手方にも代理人弁護士が就き、お互いに主張をしつつ、財産一覧表により双方の財産を整理して、ある程度の審理を進めた段階で、裁判官の心証を基に、和解に向けた議論を進めました。

お互いにある程度の主張を尽くしたこともあり、感情面でもトーンダウンすることになり、結果的には、和解の方向で前向きな話合いとなり、お互いに譲れる部分を譲り合っての解決として、弁護士主導により和解条項案を作成しました。

本事例の結末
結果としては、和解により、財産分与や養育費を適正な金額で定めることができ、判決で想定されるリスクを排除して、離婚を成立させることができました。

本事例に学ぶこと
離婚は、夫婦間の感情の対立はもちろん、様々な定め事(争点)の対立があることも少なくありません。

どのようなタイミングで離婚に至るか、これはご夫婦次第であり、ある夫婦は弁護士が1ヶ月以内に交渉で話をまとめることもありますし、今回のように、ある程度の時間をかけて調停→裁判により解決に至るということもあります。

大切なことは、離婚するときめたら諦めず、動き出すこと。そして、離婚に向けて伴奏する弁護士を見つけ、交渉・調停・訴訟という経過をともに進め、もっとも望ましいタイミングで適切な条件により離婚をするということです。

事件の処理というものは、ご依頼者と弁護士との双方の連携、情報共有、将来ビジョンの一致など、信頼関係および目的の共有が図られることで、より密度の濃い弁護活動が可能となります。

意見交換を重ねながら、一緒に進めて参りましょう。

弁護士 時田 剛志