養育費の支払いを求められている事案で、算定表よりも低い養育費で合意できた事例

紛争の内容
ご相談者の方は、配偶者の方が不貞行為を行っていたことを知り、さらに配偶者の方から離婚調停を申し立てられたため、その対応についてご相談にいらっしゃいました。

離婚をするかどうか、するとしてもどういった条件で離婚をするかについて法的側面から適切な解決をするためにご依頼いただきました。

交渉・調停・訴訟等の経過
調停では、不貞行為そのものの存在は争われませんでしたが、慰謝料や養育費の金額、財産分与などの離婚の条件面について争点となりました。

そもそもご依頼者の方は離婚をするかどうかも悩んでおられましたが、条件次第で離婚をするという決意をされたため、条件について詰めることとなりました。

本来、養育費は双方の収入により算定表という裁判実務で用いられている表にしたがって算出されます。

しかし、本件では配偶者の方が不貞行為を行っていたことが明らかであったため、慰謝料の支払いの意味を込めて金額について協議が行われました。

相手方は、養育費は算定表どおりもらいたい、さらに財産分与も行いたい旨を当初主張しており、このような主張に対して、どのようにこちらが主張するかが問題となりました。

こちらとしては、離婚そのものすら当初悩んでいたため、なるべく良い条件になるように法的な主張を粘り強く行いました。

本事例の結末
結論として、本来の財産関係からするとこちらが財産分与として支払うべきでしたが、財産分与は行わず、さらに養育費も算定表より大幅に減額した金額で合意を行うことができました。

不貞行為についての慰謝料を求めない代わりに、こうした条件を獲得することができました。

養育費は、子が20歳になるまで、もしくは大学などに進学した場合22歳になるまで支払うことが一般的であり、長期的に見るとかなり大きな金額となります。

本件では、算定表よりも大幅に低い金額で合意することができたため、その経済的な利益は非常に大きなものとなりました。

本事例に学ぶこと
離婚調停は、双方の合意に基づいて結論が決定されますから、裁判よりも柔軟解決を図ることができます。

本件においても、本来であれば算定表にしたがった金額となるべきところを、調停という場の特殊性から算定表とは異なる金額で解決ができました。

法的な側面から様々な主張をし、調停や審判、訴訟というそれぞれの手続きの特性をいかした用い方をすることで、結論が大きく変わることがあります。

どの手続きを選択し、どういった主張を行うかは法的観点からの検討が必須です。

離婚問題でお悩みの方はぜひ一度弁護士にご相談ください。

弁護士 小野塚 直毅
弁護士 遠藤 吏恭