里帰り出産以降自宅に戻らず最終的には離婚を求めてきた配偶者について離婚調停で離婚が成立したケース

紛争の内容
2人目の子どもの出産のために里帰りをした配偶者が出産後も戻ってこない、当初はコロナ等を理由としていたが次第に離婚を求められるようになった、子どもとの交流もままならない状態となっているため、どうしたらよいかとのご相談でした。

その後、配偶者が離婚調停の申立てを行ったため、調停事件の代理人として受任しました。

交渉・調停・訴訟などの経過
配偶者が主張する離婚の原因が二転三転する状況であったため、当初、ご依頼者様としては離婚に納得をしていませんでしたが、配偶者の身勝手な主張を聞くうちに離婚自体は避けられないという考えとなりました。

離婚という結論はよいとして、配偶者が里帰りをする少し前に購入した自宅に関して住宅ローンのオーバーローン分を配偶者に負担してほしいというご意向がありましたので、その点について交渉を行うこととしました。

面会交流については配偶者がご相談者様に対する悪感情から会わせたくないと主張していることが明確であったため、そのような理由で面会交流を阻害することは不当であるとの反論を行いつつ、別途、面会交流調停の申立てを行いました。

本事例の結末
離婚については、住宅ローンのオーバーローン分の半額を月々の養育費支払額から分割で控除してよいとする条件で離婚調停成立となりました。

面会交流については配偶者が里帰りをした実家が遠方であったため、主としてオンラインの方法で定期的な面会交流を行うという内容で調停成立となりました。

本事例に学ぶこと
配偶者から離婚を求められているがその理由が判然としない、身勝手ではないかと感じるというケースは多く存在します。

納得できる離婚理由が提示されるまで離婚には応じないという対応もあり得ますが、婚姻状態を継続することから生じる婚姻費用等の負担等を考えた場合、理由はさておき離婚には応じた方が経済的にはメリットが大きいという場合もあります。

離婚条件について今回の配偶者は自宅の住宅ローンのオーバーローン分の清算を事実上受け入れましたが、法的に突き詰めた場合には負債の分配はしないという結論もあり得ますので、条件との兼ね合いでどのような解決をすることが自身にとって有利かについては慎重に検討する必要があります。

弁護士 吉田 竜二