不当に高額の慰謝料の支払義務を命じる第1審判決を、控訴審で減じることができ、長女の親権を父親側で獲得できた事例

紛争の内容
依頼者は妻との離婚をするに際し、親権、慰謝料等に争いがあり、離婚訴訟にまで発展しました。

交渉・調停・訴訟等の経過
依頼者と元妻との間では、離婚すること自体には争いがなかったものの、様々な点で争いがあり、特に親権や慰謝料の金額内容がついて大きな争点となりました。

依頼者は、元妻に対し、夫婦げんかの過程で手を上げてしまいましたが、その態様から重大なものではありませんでした。
また、元妻が提出してきた証拠資料には、信用性に疑問があるものが多々見受けられました。そこで、私たちは、逐一当該証拠資料の問題点を丁寧に反論していきました。

しかし、第1審の裁判所は、あいまいな証拠資料や、ただの本人の言い分である尋問での回答内容を重視して、重大な暴行があったとの事実認定をし、それだけをもって150万円もの慰謝料の支払義務があると認定しました。

そこで、このような第1審の判決に誤りがあるとして、東京高等裁判所に控訴しました。
なお、親権については、父を指定しておりましたので、その点は妥当なものでした。

本事例の結末
控訴審においては、当方の主張が概ね認められ、第1審で支払を命じられた慰謝料の金額を半分にまで減額することができました。
また、父親側でしたが、長女の親権も父のまま維持することができました。

本事例に学ぶこと
裁判の判決は、証拠による事実認定に基づくものであるべきです。
しかし本件のように、客観的な証拠を軽視し、さらには裁判官の独自の考えによる相当と認められる金額を逸脱した判断がなされてしまうことがあります。

そこで、まずは客観的証拠資料をきちんと吟味してその価値がないことを反論していくことが肝要です。

その上で、本件のように、不当な判断がなされてしまった場合には、高等裁判所で正当な判断をしてもらうべく弁護活動を行い、妥当な結論に至ることができました。

弁護士 時田 剛志
弁護士 平栗 丈嗣