紛争の内容
ご依頼者の方は、配偶者との離婚をしたいということでご相談にいらっしゃいました。
しかし、ご依頼者の方は、法律上の有責配偶者にあたり、それを配偶者から追及されている状況でした。
ご依頼者の方は、配偶者の方から、絶対に離婚はしないと伝えられており、離婚に応じていただける状況ではありませんでした。
そういった状況から離婚をするために、交渉を開始することとなりました。
交渉・調停・訴訟等の経過
有責配偶者から裁判での離婚を請求しても、配偶者が離婚を拒む限り、裁判での離婚をすることは極めて難しいです。
そこで交渉による解決を図る方針となったため、離婚をするための条件面について整えて提示しました。
中でも、慰謝料についての条件面については、すぐにはまとまりませんでした。
交渉を行ううえで、難航する場面もありましたが、粘り強く交渉を重ねていきました。
そのようにして、交渉を続けていき、最終的には慰謝料についても合意をいただくことができました。
本事例の結末
最終的に、離婚をすることに合意していただき、慰謝料やその他の条件面についても、こちらの提示条件を最大限考慮した条件とすることで合意をいただきました。
本件では、受任から10か月で離婚を成立させることができました。
本来、裁判による離婚をする場合には、相当な長期間の別居期間を前提として、いくつかの条件を満たさないと有責配偶者からの離婚請求が認められることはありません。
有責配偶者からの離婚請求が認められるための別居期間としては、同居期間が1年などの短いケースでも、10年ほどの別居で十分な別居期間であると認定されたケースもあり、少なくとも10年程度の別居期間が必要になることが多いです。
このように離婚をするまでに長期間が必要である一方で、配偶者よりも多い収入がある方は通常、婚姻費用の支払い義務を負います。
本件では、こうした婚姻費用の支払い義務を負っていたため、婚姻費用の観点からしても、なるべく早期に離婚を成立させることが求められていました。
また、当初は分割での慰謝料の支払いには応じないという方針でしたが、結果として、慰謝料と今後の養育費を含めた金額を分割で支払うという条件で和解し、公正証書を作成したのち、正式に離婚が成立しました。
本事例に学ぶこと
有責配偶者にあたる側から離婚を求めて、離婚の合意をいただくことは難しいことが多いです。
裁判において離婚の判決を得ることが非常に困難なため、交渉においても難航することが多いと思われます。
ですが、条件面をじっくり協議し、整えることができれば、最終的に離婚に応じていただけることも可能です。
有責配偶者であるからといって必ずしも離婚をすることができないというわけではないため、離婚に向けた条件面を整えることが重要となります。
弁護士 時田剛志
弁護士 遠藤吏恭