紛争の内容
依頼者は妻からモラルハラスメント行為を受け続けており、妻と離婚したいと考えながらも、妻は依頼者の経済面に執着して離婚意思が合致していませんでした。そんな中、妻が弁護士に相談に行き、ようやく離婚についての協議が始まりました。しかし、依頼者は妻側弁護士から様々な過酷な要求を突きつけられ、自身での交渉の限界を感じ、弊所へ相談されるに至りました。
交渉・調停・訴訟などの経過
妻は依頼者である夫の経済面にこだわりを持っていたため、高額の婚姻費用を長期にわたって請求しながら、過大な財産分与を要求する可能性がありました。もっとも、親権争いが最大の問題となっていました。
そこで、本事案において、夫が親権を取ることは極めて困難であったため、あえて親権は譲って早期解決を図る姿勢を示しました。すると、妻側はこちらの姿勢に驚き、早期解決に舵を切る意向を示してきました。
依頼者には、不当にならない範囲で最大限こちらに有利な内容の財産開示をしてもらい、存在が疑わしい妻の財産開示をしないで良いとの条件を提示し、事実上財産分与をしないで済みました。
このようにほとんどの論点が解決済みであるという状況を作り、まずは離婚を先行させることに成功しました。
その後、養育費・面会交流という、子どもに関する争点のみを残し、高額な婚姻費用請求をされない状況の下、適正で依頼者に有利な解決を目指すことができました。
本事例の結末
最終的に、親権は諦めたものの、婚姻費用をほぼ払わずに早期解決をすることができ、財産分与なし、養育費をこちらに最大限有利な内容とし、面会交流内容も依頼者の納得いく内容とする解決をすることができました。
本事例に学ぶこと
離婚問題においては、どうしても感情論が先行し、客観的に見て多大な経済的犠牲を強いられるケースが見受けられます。相手方が一番重視している条件であり、なおかつ、その争点において見込みが厳しいようであれば、あえてその条件を譲ることで、総合的に見て有利な条件での離婚をすることが考えられます。